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2025/10/15

最大限の自由

学生の頃、何度もフェリーに乗った。

お金はないが、時間はある。

そんな学生に、フェリーは最高の移動手段だった。


車はなく、徒歩で利用した。

自分の寝台を確認し、手荷物を置き、貴重品だけを身につけて、出航前の船内をうろつく時間が好きだった。


フェリーが港を離れるときは、遠ざかる小さな街を眺めていた。

夕方の闇に沈みつつある、小さな、小さな街だった。


身体が冷えると、湯の大揺れする大浴場にいった。

船の揺れのままにうねるような湯船で、湯の動きに身体をまかせているのが楽しかった。


温まった身体を、食堂のビールで冷やした。

船の中にいるしかない時間が、とても贅沢だったと思う。


また、フェリーに乗ることがあるだろうか。

   

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