朝の雨で、思い出すこと

2025/10/15

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夜明け前に、雨の音を聴きながら、ノートを前に考え事をする。

雨の中、うろついた、いろいろな土地を思い出す。


一番遠く、とても寂しかった所で過ごした夜のこと。

雨が窓を打つ音に、波の音が重なった。


冬の入り口の、地中海に面した、人の少ないリゾートホテルの部屋。

一人きり、家族のもとに帰る旅程を、何度も心の中で確かめていた。


これまでの人生で行った、一番西の端。

言葉も、食べ物も、ホテルの中の調度にも慣れていなかった。


クレジットカード1枚と、残り少なくなっていたトラベラーズチェック。

タクシーで空港に着いたときに、英語の表示を見て、少し安心した、


雨上がりの、重たい雲が垂れ込める日だった。

   

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