半世紀の、風の音

2025/11/11

ブログ

子供の頃。


冬の夜に聞こえていた、電線が風に鳴る音。

電線が、雪混じりの風を切り、笛のような細い音をたてていた。

それを、布団の中で聞いていた。


暗い部屋で、目を閉じて、眠りに落ちるまで。

その音を聞きながら。

外で舞っている雪の渦と。


たくさんの人の影と。

囁き合う姿を想像していた。


昔の実家では、決まった石炭が燃え尽きたら、ストーブごと取り替える方式のルンペンストーブを暖房に使っていた。


夕方、父が帰宅する頃に、ルンペンストーブを取り替える。

それに入っている石炭が燃え尽きる頃までに、夕食と、入浴とを済ませた。


石炭が燃え尽きると、家族は早々に寝床についた。

翌朝に使うルンペンストーブに取り替え。

水道の水を落とし。

凍りつく、寒い夜に備えた。


そして、電線の鳴る音を聞きながら、僕は眠った。

雪に閉ざされた家で。


もう、半世紀も前のことだ。

   

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 穏やかな暮らしへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

暖淡堂書房の書籍

管子四篇 改訂版 (暖淡堂書房)

新品価格
¥1,200から
(2025/11/7 21:59時点)

暖淡堂書房の書籍

臨済録<現代語訳> (暖淡堂書房)

新品価格
¥800から
(2025/11/7 22:03時点)

暖淡堂書房の書籍

新井白蛾「易学小筌」増補版 (暖淡堂書房)

新品価格
¥900から
(2025/11/7 22:05時点)

QooQ